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――空腹で死にかけの男は何とかおかみに注文し、食事をしたら元気になったようだ。
「さっきは悪かったね」
そういって謝る。
若者は別のデザートをご馳走になり機嫌は直っていた。
「いいって!別のおごってくれたし」
「峠から歩き通しで、途中で盗賊に狙われたり人買いに誘拐されそうになったり…ちょっと疲れててね~」
「あんた、不幸体質?」
「幸福体質ではないかな?(笑)」
「ふーん」
「あ、いまさらだけど…僕はロイ。こう見えても聖職者です」
長身で黒髪黒目。
細身のよく見ればイケメンな男だった。
服装は聖職者と言うより、普通の旅人の装いだ。
「俺は、ユーリ。傭兵やってる」
こちらは、やや赤い茶髪に茶色の瞳。
光の加減で赤い瞳に見えそうだ。
背はロイと比べると頭一つ分は小さい。
ロイが大きいだけだが。
「傭兵?見るからに若いのに、傭兵?」
ロイが頭から靴の先までジロジロと見る。
「…傭兵に年は関係ねーよ」
「ま、僕も人のこと言えた義理じゃないけどね~。よく、若造がって言われるし」
肩をすくめながらはにかんで言う。
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