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雨の音が激しくなる。
「…」
黙ったままの黒崎を、見下ろすように青年が立ち上がり、言った。
「このUSBメモリーには、貴方の愛する方のデータが全て入っています。居場所も、勿論」
その言葉に、一瞬黒崎が揺れる。
━━駄目だ。1000年前も同じ手を使われ、自分は落ち潰れたではないか。
「これを貴方に差し上げます。だからもう一度、貴方を歓迎したいのです」
丁寧な口調で話を進める青年であるが、歓迎するということは、もう一度軍を敵に回すということになる。
黒崎には、それは絶対に出来ない理由があった。
まず一つ。過去の事とは言えども、軍が黒崎の居場所であったこと。
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