虚構空間

3/6
前へ
/6ページ
次へ
これから向かう会社はそう遠くない。だから歩いて行かなければならない。 これは上司の上司、よく知らないが、かなり偉い立場の人が決めたことのようだ。 地球上で最も繁栄している人間が地球のことを考えるのは当然だ、とかなんとか、入社式の時に声高に語っていた。そうは言っても、どうせその人はどんな短距離だろうが空調の効いた車で行くのだ。 エコだの何だのと表向けには立派ことを主張しているが、きっと本音では企業イメージの向上が目的だろう。企業のトップが考えることなど、そんなものだ。 確かに人間が汚してしまった地球のことを考える必要があるとは思う。しかしそれは、環境と引き換えに富を得た、企業のトップや上層部こそが誰よりも考えるべきことなのではないのだろうか。 地位が高いからといって何でも好待遇でいいはずがない。どんなに偉かろうが、地球からすれば所詮は一人の人間なのだから。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加