虚構空間

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そんなことを考え、苛立ちながら歩いているのだから、当然足取りは重い。普段の倍は時間がかかりそうだが構わない。多めに時間を使い、少し怠けてやろう。 空を見上げると、地球上に熱と光をもたらしてくれる球体が目に入り、思わず手でその光を遮る。だが、それは反射的な行動。実際にうっすらと雲に覆われたそれが届ける光と熱はあまりに頼りない。 今から半年もすれば、また嫌になるほど暑くなるのだから、今の内にもっと仕事をして、半年後は少しでも休んで頂きたいものだ。 そんな願望に応えてくれるはずもなく、ただ雲の向こうからぼんやりとした光を漏らすだけだ。 少しの間それを見つめていると、なんとなく暖かくなってきたような気がした。 やればできるじゃん。 そう健闘を称えるや否や、私の全身を風が撫でていく。それは私を嘲笑うかのように折角の熱を奪い去り、遠くへ去って行った。 全く、あの上司が羨ましい。
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