青年

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オレはチラシの内容には反対だし、そもそも信じてない。 信じてないけど、他人が入っていくのを見ると自分も入ってみたい好奇心に駆られてしまう。 信号が点滅し始めた頃、制服の女の子が建物から出てきた。 信号が青になり、オレは空のペットボトルをゴミ箱に投げ捨ててから歩きだした。 ゆっくり横断歩道を歩いている制服の女の子とすれ違うとき、彼女の長い髪が腕に当たった。 あ、いい匂い。 横断歩道を渡ったあと思わず振り返り、女の子の長い髪を見つめてしまった。 反対側の歩道には、さっきオレが投げ捨てたペットボトルが転がっている。 もしあのチラシが本当で、あの子みたいないい匂いで可愛い女の子が売ってたらオレ、買っちゃうかも。 そんな事を考えながら、先ほど女の子が出入りした小さな建物のドアを開く。
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