0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
あのおっきなトマト、食べられるかな?
私は真っ赤に熟れたトマトに手を伸ばす。
でも大きすぎて届かない。
「ニャア~…!」
力を入れるために声を出したら
お肉の焼けるいい匂い。
あ、あっちだ!
…あれ?こっちからはお野菜の煮えるいい匂い!
そっかぁ、夕飯の時間かぁ。
あっ!足音がする!
こっちに走って来る!
足音がする方に振り返ったら
「ニャ!?」
トマトが食べられちゃった!私の分が半分も食べられちゃった!
『のら~、こんなとこにいたっ』
呆然としていたら、ふわりと体が浮かんだ。
「フニャあ~!」
離してよー!私のトマトが食べられちゃうじゃない!
思いっきり暴れる私の体を、声の主は優しく包み込んだ。
『のら、ほらトマトっ』
あれ?…なぁんだ、おひさまくん。
おひさまくんっていうのは、ちょっとおっきなお兄ちゃんで私と遊んでくれる優しい人なの。いつも大好きなトマトを持ってきてくれるのよ。
「ニャア~」
ありがとう~って行ってほっぺにちょんちょんって触ったら
おひさまくんはにっこり笑ってくれた。
それから
私は土管の上に座ったおひさまくんの隣で
トマトにかぶりつく。
土管の近くにはおっきなポプラの木があって、
私はいつも、それにもたれながらおひさまくんを待ってる。
最初のコメントを投稿しよう!