君と僕

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その屋敷の窓の開いている部屋に、1人の少女が眠っていた。そこにはベッドもソファーもあるにも関わらず、淡い紫色をしたカーペットの上、つまりは床で眠っている。黒いゴシック調のワンピースに黒くて長い髪が床に散らばっている。雪の様に白い肌に影を作る長い睫毛。まだあどけない子供の様な顔をして眠っている。 かたん、と音がして少女は顔を歪ませた。そして視界が急に暗くなると、自分の頬になにがあたっている様な感じがする。段々と意識がはっきりとし、ゆっくりと目を開けると、そこには青と緑の宝石が見えた。 「起きて翠。」 「暁月・・・。」 暁月と呼ばれた宝石は、先程一本道を歩いていた少年。彼は名前を呼ばれてとても嬉しそうに笑うと顔を近づけて触っていた頬に唇を落とした。 「起きて翠!今日が最後のお祭りだよ!行かないと終わっちゃうよ!」 暁月は翠の腕を引っ張って起き上がらせようとしながら、こういった翠とのやり取りを楽しんでいる様だった。 翠は綺麗な灰色の瞳に彼を写し、やっと彼が暁月であると認識した様でゆっくりと上半身を起こした。 「また無理して実験してたの?今日は新月だから無理したらまた前みたく倒れちゃうよ?」 未だに床に座って眠たそうな翠に苦笑しながら、崩れた翠の髪を優しく梳いていた。
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