序章

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二人が出会ったのもある事件を通してなのだが、それはまた別の話。 お金が無いのかただ単に節約かは定かでは無いが、この真夏にここにはクーラーというものが存在していなかった。 机の下に小さい扇風機がカタカタと音をたてながら、ヒューと僅かな風を運ぶ。 やはりお金が無いのかもしれない…。 その扇風機は羽が二枚しかついていなかった…。 「なぁ~俺さ、コンビニ行ってくる。アイス買ってくるわ」 空は今まで横になっていた、客用のソファーから身を起こすと、財布を手に取った。 黒い革製のソファーには所々穴が空き、中身の綿がムクムクと飛び出している。
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