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~席替え終了~
席替えが…終わった。
辛かった…
嬉しくてきゃあきゃあ言っている人もいれば、最悪ぅ~と言いながらきゃあきゃあ言っている人がいた。
結局みんなきゃあきゃあいうのだ。
私達と、笹川…?の兄妹はくじ引きで席を決めたのにも関わらず、かたまっていた。
先生は妙に上機嫌で、
「よかったわぁ! 内ノ宮さん達と笹川君達が同じ班でぇ…双子同士仲良くしてね? やっぱり双子同士じゃないとわからないこともあるだろうし、分かり合えることもあると思うのよ。双子と言っても違う種類だけど仲良くね。あ! 勿論、他の子とも仲良くしてね?」
笹川さん…が、元気よくこたえた。
「ハイっ!! みんな、よろしくね!」
葵は黙って下を向いていた。
たまに私の顔をチラッとみることがあったらしいけど、(後で実から聞いた)私は気が付かなかった。
私の心の中は先生への怒りでいっぱいだったから。
何で先生はあんなことを言うのだろう?
双子双子って…私達はたまたま同じときに生まれただけで…
それだけで…
私達をひとつとしてみるのっ?
苺は実じゃない…!
実は苺じゃない…!
私は苺…! 実は実…!
なのに…
実と苺は同じじゃないのに…
どうして誰も気が付いてくれないの…?
先生の声ではっとした。
さっきからまだ話していたらしい。
ううん、そんなことより…
私…何言ってるの…?
これじゃあ…
これじゃあまるで誰かにわかってほしいみたいじゃない…!
いいの…
私には実だけでいいの…
そうでしょう? 苺…
今までだってそうだったじゃない。
実だけいれば他はどうでもいい…
これは、運命なんだから…
そう、運命…
私は呪文のように心の中で繰り返した。
そうだよ…
私の味方は実だけ…!
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