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「………」 「………」 ……… 明さんと飛田さんが出て行って数分。 ぶっちゃけて言おう。 沈黙が痛い!! いや、呼んだの俺だけどね?! なんか飛田さんで驚き過ぎてちょっとテンションおかしくなって… もともとか。 「…で、僕に用?」 たいそう不機嫌な顔で聞かれました。いつもの営業スマイルすらありません参ったね。 俺は一回深呼吸をして気持ちを落ち着けた。 まずは… 「昨日はすいませんでした」 頭を下げ、間宮の足下を見る。 間宮は足を崩し姿勢を変えた。 カチンという音がして数瞬、何かを吐き出してるらしい、白い煙が宙を舞う。 顔を上げるとタバコを吸いながら机に寄りかかる間宮の姿があった。 教師としての振る舞いなどない、素の男が一人、こちらを眺めている。 まったく、黙ってればいい男、というより、黙ってればなおいい男、ってとこか? 神様ってほんと不公平。 間宮はもう一度、今度は深く吸って長く煙を吐き出した。 室内に広がる香りに鼻の奥が痛くなる。 箱は見たこともない、ライターより高さのない小さなものだった。 「で?」 間宮の細められた眼差しがこちらを向く。 「用ってそれだけ?」 「…違います」 「だろうね、わざわざあのキチガイ使ったんだから」 「…明さんをそんなふうに言わないでください」 視線が重なる。 先ほどまでしてた気の無いような眼じゃない。 こわくて竦んでしまいそうな自分をおさえるのに必死だった。 でも、 逃げるわけにはいかない。 間宮の言う通り、明さんまで頼ったのだから。
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