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「先生は飛田さんが好きなんだよな?」 間宮は頷きも否定もしない。 ただこちらをじっと見ている。 「明さんが飛田さんを好きってことは知ってる?」 そう聞くと眉がぴくりと動いた。 忌々し気に顔をしかめる。 「知ってるよ。なに?諦めてあいつに譲れって?」 「違う」 「じゃあなんだよ。何が言いたいわけ」 「飛田さんは、」 言ったらきっと傷つける。 この人のもともとついていた傷をさらに深くするかもしれない。 でも、いまのこんな状態を続けてほしくないから。 「きっと気づいてるよ」 「…何を?」 「間宮の気持ちも、やってることも」 おかしいと思ったんだ。 飛田さんは鈍くない。 むしろ人の気持ちに敏感だ。 今回間宮の様子がおかしいって気づいたのだって、 それどころか二日前の朝、俺の顔色すらわかってみせた。 あんな人が気づかないものだろうか? 「ありえない」 「本当に?飛田さんはそんな鈍感には思えないけど」 「おまえにあいつの何がわかる?!」 声を荒げ、息を乱す間宮はその目でこちらを睨んだけれど、その奥は怯えてるように見えた。 間宮の言う通り、俺は二人ほど飛田さんのことは知らない。 明さんだって言ってた、気づいてないって。 けど、さっきも言ったように、あの人はそんな鈍くない。 だから、もしかしたら… 「間宮と一緒なんじゃない?」 「…何が?」 「いまの関係を壊したくないから、」 何より大切な仲間だから、 「気づいてないふりをしてるんじゃないの?」
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