8126人が本棚に入れています
本棚に追加
/1308ページ
間宮は再びタバコを取り、長い長い煙を吐いた。
こちらを見て、かすかに微笑む。
その目にもう怯えは無かった。
「…また呼び捨てて言ったね」
「へ?…あ!」
「こりゃお仕置きかな?」
「やめてください本気でやめて」
「冗談だよ。お子様は相手にしません」
これからはね。
そう付け足して間宮は窓の外を見た。
陽に照らされた横顔は、儚くけれど穏やかに映り、綺麗だと心から思えた。
「終わったか?」
ガチャリと音がして飛田さんと明さんが入ってきた。
寒かったのか顔が少し赤くなってる。
「ごめん、寒かった?」
「全然、森ちゃんじゃないんだから平気よー?」
明さんはそう言ってケラケラ笑ってる。
俺も口を曲げながら、けどやっぱり笑いが込み上げて二人で笑った。
だから間宮と飛田さんがこっちを見て何か話してるなんて思わなかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!