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…えーと、つまり? ナツは俺を庇ってくれたのかな? また何かされるとあれだからって、わざわざ自分の恋人って嘘ついて。 いやまあ半分本気かもだけど。 けど、そっか…迷惑かけちゃったな。 「そう言われたから僕ら以外の三人も渋々了承したんだよ」 「おまえに何もしないって」 「まあ総隊長に歯向かう奴なんて居ないけど」 「そうなんだ?」 いやはや、ナツってばちゃんと総隊長やってたのね。 なんか全然親衛隊らしい活動してんの見たことないから他の人に何か言われないか気になってたんだよね。 「けど、嘘なんだな?」 そう言う市井隊長の声は真剣で、見れば隊長三名がまっすぐこちらを見つめていた。 「あー…うん、嘘だよ」 言った後で暴露して大丈夫なのかと心配になった。まあいまさらですが。 けど俺の言葉を聞いてどこかホッとしたように三人とも力を抜いた。 不思議に思う俺に二ノ宮隊長が続ける。 「安心しなよ。他の奴らに言うつもりないから」 「え、ほんとに?」 「言ったって総隊長からまた何か言われるだろうしね」 どこか苛立ったように言う三橋隊長を見て思わず笑ってしまった。確かに、ナツなら口八丁で言いくるめてしまうかも。 そんな俺の笑いを誤解したのか機嫌を悪くした隊長達が顔を背けた。 ほのかに顔を赤くする姿にさっきとはまた違う笑みがこぼれる。 「ありがとうございます」 三人は意味がわからなかったのかきょとんとしてこちらを見た。 あ、そういやさっきのもお礼言ってねえや。 風紀の親衛隊が何故来なかったのかわかってない俺は改めて頭を下げた。 「えーと、黙っててくれるってのと、さっき匿ってくれたののお礼。ほんと助かりました。ね、恵くん」 「えっ?!あ、はい!ありがとうございました」 声をかけるとぼんやりしてたのか恵くんの高い声がさらに高くなった。 ほんと可愛いなあ。 頭を腰まで下げ再び顔を上げるのを見届けて三人に視線を戻すとさっきより真っ赤になった姿が目に入った。 「た、隊長?!どうしたんすか!」 「うるさい!」 「別におまえを助けたわけじゃないからな!」 「そうだ!あいつらが気に入らないだけだ!」 あいつらって風紀の親衛隊か? てかツンデレのテンプレみたいなセリフ来たよ真っ赤にしながらとかちょっと隊長達ツンデレ要員? そんなこと考えてたら何見てんだよと三人に怒られましたすみません。
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