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激怒する三人を落ち着けさせ再び恵くんを見た。 ごめんなさいと呟きながら縮こまっている。そんなに怯えなくていーよー。 「えーと、ホットケーキ作ってと長沢に頼んだ」 「はい」 「そこへ桐渕が来てキレたと」 「はい…」 恵くんが俺の確認に頷きながらどんどん頭を下げていく。 「そんな凹まなくても…」 「いえ、桐渕先輩に誤解させてしまいましたし、何より長沢先輩に迷惑かけてしまって…」 駄目だ完璧落ちてる。 「なんでホットケーキ?」 ここは話を変えてみるか。 いきなり話の矛先が変わり恵くんは慌てた様子で、若干恥ずかしそうに呟いた。 「その…同室の子に…あげたいな、って」 「同室の子に?」 「はい。彼、ホットケーキが好きだから…」 そういう恵くんの顔は茹でたプチトマトです。茹でプチ! …てか、それって… 茹でプチな恵くんはこれ以上ないくらい恥ずかしそうだ。 これはこれはひょっとしてー? 「その子って恵くんの彼氏?」 「違います!!」 「じゃあ恵くんの好きな人?」 うっと言葉につまり再び顔を伏せる恵くん。 ちょっとちょっと何この子可愛いいいいいいいいいっっ!! え?!好きな人の為にわざわざ長沢に頼みに行ったの?!え、何それ!健気っつうか尽くすタイプか恵くん! 「ていうか自分で作らないの?」 まあ長沢のなら誰でも嬉しいだろうけど、俺は本人手作りの方が萌える。 「僕、料理苦手で…」 「そうなの?」 「はい」 頷きながら悲しそうにうつむく。 しかしすぐ顔を上げて笑う恵くん。 その顔に何か言おうとしてた俺も止まってしまった。 「先輩にはご迷惑おかけしました。もう諦めます」 「え、なんで?確かに桐渕とか親衛隊とかいるけど…」 「長沢先輩からも断られましたから」 あら、そうだったのか。 「頼まれて作るのはやってないって。それをするのは一人だけなんだそうです」 その一人には頼まれたら作るって?何それ萌える。 「それって桐渕?」 「いえ、違うそうです」 あれ違った? 誰だろう?長沢がそんなふうに言う奴って。
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