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けど、ホットケーキなら… 「それじゃ、僕失礼します。本当に申し訳ありませんでした…」 「ちょっと待った」 帰ろうとする恵くんを引き止める。 不思議そうにするその眼を見つめさっき言い掛けたことを提案した。 「一緒に作らない?」 「…え?」 一瞬意味がわからないといった表情を浮かべたがすぐさま意味に気づき首を振った。 「いえ、本当に僕作るの苦手で…」 「好きな子に作るんでしょ?俺が貰うなら手作りの方が嬉しいけど」 「そんな食べれるものじゃないですし…」 「作れるようになれば同室の子が欲しい時いつでも作ってあげれるよ?」 「…けど…」 「俺も昼に作ろうと思ってたからさ、一緒にやろうよ」 ね?と聞けば、恵くんは何か言おうと口をぱくぱくさせ、目を泳がせたかと思えば俯いて下を見つめた。 いつでも作ってあげれる、という言葉に恵くんの瞳が揺れるのを見たから、多分恵くんは断らないと思う。 出来るなら自分でと誰よりも思ってるのはきっと恵くん自身だ。 長い葛藤の末、恵くんは小さくお辞儀をして呟いた。 「よろしくお願いします…」 耳どころか首まで真っ赤にして、悩んで悩んで決心した恵くんが健気で。 そんなことでと言う奴もいるかもしれないけど、自分には無理だと思ってることに挑戦するってす…っごくキツいと思うんだ。 だから、なんかそれを見ただけで、まだ作ったわけでもないのに無性に嬉しくなった。 「大丈夫だよ恵くん」 「はい?」 「恵くんの気持ち、絶対伝わるよ」 絶対とか軽々しく使うもんじゃないけど、でも、恵くんならって本気で思ったから… 「…ありがとうございます」 そう言って恵くんは笑った。少し照れくさそうに。 「よっし!んじゃ俺の部屋行こうか!」 「「「ちょっと待て!!」」」 隊長達が怖い顔して声を揃える。 そうだ、 「隊長達もどうですか?」 「「「は?」」」 「俺これから昼なんで、ホットケーキは飯代わりっつうか。もし隊長達何も食べてないなら俺作りますよ」 俺の提案に何故か身動ぎする三人。え、怒った? 「あー…お礼代わり…とか思ったんすけど、失礼でしたかね?」 まあ素人の作るもんとか、プロの味に慣れてるここの生徒なら食う気も起きないか。 しかし三人は心外だと顔を真っ赤にして声を荒げた。 「誰も食べないなんて言ってないだろ?!」 「貧乏人にそんな期待してないよ!」 「不味かったら捨ててやるから!」 「食うの?!食いたくないの?!どっち?!」
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