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恵くんと二人キッチンに立ちボウルやホットケーキミックス等々、必要なものを揃えていく。
つか俺一緒に作るって言ったけどさ、教えるとか無理なんだけど。
や、めっちゃ我流だし。
そんな先生みたいに大層なスキル持ってないし。
とりあえず見てればいいのか?けど口出すとか苦手なんだよなー…邪魔になるだろうし…
「…あの、」
「ん?なに恵くん」
「その…見られてると…」
言いづらそうにうつむくのを見て俺ガン見してたんだなとようやく気づいた。
てか恥ずかしがってるよ恵くん。ごめんなー!
「あ、じゃあ俺ソースとか用意してるね」
「ソース?」
「ホットケーキにかけるソース。クランベリーないから苺でいいかな?あとはアイスとか生クリームとか…あ、メープルシロップ無いかも」
「………」
「おおあったあった。チョコもあるけど刻む?」
「…先輩って、」
「へ?」
冷蔵庫から恵くんに視線を戻す。
こちらをじっと見つめる恵くんと目が合った。どうした恵くん真顔で。
「お菓子、よく作るんですか?」
「あー…まあたまに。料理はからっきしだけどね、菓子作りは好きだよ」
「…そうなんですか」
力無く呟くと恵くんはボウルへ向き直った。
カチャ…カチャ…と遅いペースでボウルの中を回している。
え、どうした?なんでそんな沈んでんの?
「えー…っと、け、恵くんはホットケーキに何かける?!」
「あ…蜂蜜ですかね?」
「あー蜂蜜とバターは鉄板だよねー。俺はそのままも好きだけど。いっそかけないことにしよっか!別で用意して皆さんお好きにどうぞ、ってさ」
「…そうですね、とてもいい考えだと思います」
どうしよう恵くんが怖い。暗すぎるよ?負のオーラが滲んできてるよ?
「あーっと…」
「………」
駄目だ重い。なんか喋っていい空気じゃない。
どうすればいいんだ?!
「「「おい」」」
「はいいい?!」
おや三人が壁に並んで覗きこんでるよ。トーテムポールだったっけ?を思い出すなあ。
「これ、」
「終わったんだけど」
「続きは?」
「ああ続きね?!いま持ってきます!」
ナイスだ隊長方!このダークフィールドからいったんエスケープだぜ!!
…つか終わるの早くね?
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