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「あの…」 「ん?」 追加を作っていると手伝いますとついてきた恵くん。 後ろに立って真剣な表情を浮かべている。 「先輩にお願いしてもいいですか?」 「なにを?」 「…ホットケーキ、作って欲しいんです」 それがルームメイトくんの分だというのは言われなくてもわかった。 けど… 「僕の手作りは…」 俺は微妙な表情をしてたんだろう、安心させるように笑って恵くんは続けた。 「もっと練習して、上手くなってからにしようと思います」 「………」 「だから、それまで先輩に作ってもらいたいんです」 よろしくお願いします。 と、深く頭を下げる恵くんはこの部屋に来る前と違う、自信なさげに俯いていた目線はまっすぐ前を向いていた。 「…俺でよければ」 「ありがとうございます!」 「ただし、条件ひとつ」 「え?」 喜んでいたのが一気に不安そうな顔色へ変わる。 俺はくすっと笑ってその条件を提示した。 「練習して出来たやつは俺にも食わせること」 「…え」 さっき恵くんが作ったやつは食えなくて結局残してしまった。あれは後で手直ししよう。 「上手くなった恵くんの、楽しみにしてる」 きっとどんどん上手くなるから。 俺の言葉に恵くんは照れくさそうに、けど笑顔ではいとうなずいた。 ほんと、可愛いよなあ… この子に好かれてるっていうルームメイトくんはどんな子だろ? 今度写メとか見せてもらおう。
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