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………
…ぅう…寒い…
なんだ?風がヒューヒューと…
「…んぅ?」
…今度はなに?
眩し…
あれ?なんか身体重い…ああ如月が寝てるんだったな。
ん?じゃあなにこの光?
目を刺激する灯りの正体を探るべく瞼を上げると、
電気の点いた部屋で眉を上げ、こちらを睨む藤井が目に入った。
あ、帰って来たんだな。
「おかえり~」
如月が起きないよう小さな声で手を振った。
そしたら眉間の皺が増えました。
歯ぎしりまでしだしてる。え?俺おかえりって言っただけじゃん?
あ、そっか藤井のベッド占拠してた。だからか。
「ごめん借りてた」
そう言ってシーツを見せ…ようとしたけど如月ががっちり掴んでて放してくれません。
肩にかけてたシーツも如月が奪ったようで頭まで被ってる。こらこらつむじだけ出してちゃ風邪引きますよ~
「っくし!うえ~…」
おお鼻水が、やべえやべえ。
頭上に手を伸ばせばティッシュの箱に触れた。一枚もらうぜえ。
「…何やってんだおまえ」
さっきまで黙っていた藤井が聞いてきた。
如月を意識してかその声は少し小さい。
「えー…、添い寝?」
笑い混じりに言ったのに藤井は笑いを返すどころか青筋たてました。
なんだよジョークと思ってツッコメよ!!藤井に突っ込みは無理だと感じた今日この頃。
…つか、ねえ?
まさか泣いてたから宥めてたとは言えないし。
如月だって、たぶん言われたくないだろうし…
ああそうそう!
俺はこの空気を変えるべく、いまだ睨み付けてくる藤井に礼を告げた。
「ありがとな」
「…なにが」
「如月にベッド貸してくれて。俺自分の部屋がどんな部屋かすっかり忘れてたから」
サンキュ、と笑う俺を無表情に見つめる藤井。
睨まれるのも怖いけどその顔も怖いんですが…
何考えてるかわかんないし…
何秒か何分か、沈黙が続くと藤井が盛大なため息をついた。
それはもうわざとかってくらい盛大に。
なんだよどうせ馬鹿とか思ってんだろ?!その通りだよ!!
…言ってて凹んだ。
「飯は?」
「へ?」
藤井がドアの先、共有スペースを顎で示す。
見えないけれど頭に冷めたホットケーキが浮かんだ。
あ!そういや忘れてた!
口に出してたらしく藤井がまたため息をつく。
そのまま何も言わず背を向け部屋から出て行ってしまった。
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