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なんだよー… 閉められたドア越しに出ていった藤井を見る。 んな怒ることないじゃん? 俺謝ったじょー。 何も言わないのは相当怒ってる証拠。 マジでキレた時、藤井は無口になる。 まったく無口キャラは風紀の長谷川先輩だけで十分だぞ。や、あれは口数少ないだけか。 しかし藤井がキレるのなんか久々に見たな。 いやそんな見たことないんだけど。 一回、 なんだったかな? 俺が悪かったんだかな? 思い出そうとしてふとナツの顔が浮かんだ。 そうだ。 ナツと藤井が初めて会った日、 俺とナツのやり取りを見て、藤井がキレて… いまはまだしもその時の藤井は男と男のそういうやり取りに耐性がなかったから、それでだいぶ不機嫌になって… …まあそれだけじゃなかったけど。 『おまえ、馬鹿じゃねえの』 ……… そういや、昨日ナツが怒った時と一緒だったかも。 俺の考えが足りなくて。 藤井はほんと世話焼きっていうか、なんというか… 俺のこと本気で心配してくれるんだ。 まったく、いい親友を持ったよ。 俺にはもったいないね。 『もっと考えろよ』 …うん、 ほんとそうだな。 もっと周りのこと考えなきゃ、いつかみんなに、藤井にも見限られちゃうな。 うし、と気合いを入れ直すとドアが開いた。 藤井がまだ不機嫌な顔で入ってくる。と同時に甘いニオイが入り込んできた。 あ、もしかして温めてくれたんかな? 「そいつ起こせ」 藤井の目が如月に向いてるのでそいつが誰を指すかすぐわかった。 つかそいつって… 藤井って名前呼ばないよなあ… そう思いながら笑みがこぼれる。 まあ、どうでもいい奴なら口にもしないんだけどね。 ナツのことも嫌ってるけど、まだ形容詞を使うだけいい方だと知ってるから、この呼び方もそこまで気にならない。 「なに笑ってんだ」 はやくしろと睨まれた。 はいはいただいま。 「如月、」 シーツ越しに肩を揺する。 「如月、起きて」 けれど如月は低い唸り声を上げ俺の服を掴む手を強めた。 と同時に柔らかい髪が揺れ、頭を胸に擦り付けられた。 ってこら!そんな可愛いことは会長とか副会長と速水怜二あたりにやってなさい!! 「ちょっ、如月、くすぐったいから…!」 手は強いくせに頭は軽く押しつける程度の力しかない。変に加減されてると痛いとか痒いとかよりくすぐったくて…
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