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こらこら如月、いい子だから俺じゃなくて、せめて藤井相手にそれやんなさい! だ~!無理!俺くすぐられんの無理なんだって!!面白がった姉ちゃんに一回殺されかけたんだから!くすぐられ過ぎて! ってそれはどうでもいいよ。 はやく起きてええええっっ!! 「如月、…っ!」 無理いいいいいいいいっっ!! 「うえっ?!」 不意に如月が寝てるとこ以外寒くなった。 目の前で宙を舞う真っ白なシーツ。 やがて風に揺れながら下に降りるとシーツの端を掴んだ藤井が目に入った。 あ、これ取ったの藤井か。 つか寒っ!! どうやら藤井が俺と如月に被っていたシーツと毛布、まあ布団を全部取り払ったようだ。全部一気にとかどんだけ力入れたんだか… けどいまので如月も起きたらしい。 覆われていたものを全て取り払われ寒くなったのか身を縮めた。 「如月」 名前を呼べばぴくりと頭が揺れる。眠そうに目をしばたかせながら顔を起こした。 「おはよう」 挨拶って大事だよねうん。 如月と目が合うといままで気づいてなかったのか、目を見開き固まってしまった。 「はあっ?!」 「ふぐあっ!!」 勢いよく起き上がる如月。 俺の胸に手置いたまま。 力いっぱい押された俺の呼吸は一瞬止まった、気がする。 みんな!心臓マッサージは心臓止まってる人にしかやっちゃ駄目だぞ?! …いやマジしぬ… 「えっと…悪い」 いまだゴホゴホ咳き込む俺を如月が心配そうな目で見つめてくる。 大丈夫と言いたいのに口開く度咳が出て言葉にならない。 つかマジしぬってこれ… 「なにやってんだ馬鹿」 藤井が近づいてきて、おそらく立ち上がらせようとしたんだろう。俺の腕を、引いた… 「いってえええええええええええええええええええええええええっっ!!」 本日二度目の大絶叫。 うん、俺マジ逝っちゃうよ。 「~っ、なんつう声出してんだてめえ!」 「いてー…ふっ、いてえよー…」 「朝比奈?!おい大丈夫か?!」 「何泣いてんだよ?!」 「う…っ、いたいー…」 「え、俺?朝比奈ごめん、泣くなって」 「ったく、ほら!掴まれ」 「うー…」
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