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そして夜。 「如月どうする?」 部屋に戻るか聞けば顔をうつむけ黙ってしまった。 まだ帰りたくない、か。 「如月が帰りたくないなら泊まってけばいいよ」 「や、それは…」 「まあ速水は寂しいだろうけど」 速水の名前を出せばさらに表情を暗くした。 …速水怜二と喧嘩したのかな? 部屋は速水と同室なわけだから、もしそうなら帰りづらいだろうな。 …けど、 「速水は如月が大好きだから」 あんな一人にべったりしてる速水は初めて見たから、 「きっと帰りを待ってるよ」 如月を探してるかもしれない。 「………」 「もしメアド知ってるなら連絡しておいた方がいいかも。俺達の所泊まるって」 「…そしたらあいつやってくんだろ」 「あーそうかも。つか絶対そうする」 藤井と笑って話す俺を如月がじっと見つめてる。 泣きそうな目で。 気づいた俺はなるべく、優しく映るように微笑んだ。 「大丈夫だよ」 そんな不安そうにしなくても、 速水がどれだけ怒ってたとしても、きっと今頃如月のことが気になってる。気になってしょうがなくなってる。 …まあほんとに喧嘩してるかは知らないけど。 …つかこれ違ってたら何言ってんだこいつ状態じゃね? 「ま、まあとりあえず今日は泊まっていきな!ね?!」 誤魔化すように言うと如月はためらってるようだったが、最後には小さく頷いた。 よし、と笑顔になる俺、を睨む視線が… …藤井の眼が痛いです。 「えーと…そうそうベッドだけど!俺のとこ…はちょっとあれだから、よし!藤井のベッド如月使って藤井は俺のベッド使うか!」 「は?」 「俺ソファで寝るし!」 「や、だったら俺ソファ行くよ」 「駄目だって如月今日雨うたれたんだから。最後まで油断は禁物」 「おまえもだろうが」 「俺はそんな当たってないし」 「…馬鹿が」 「は?!いきなりなんだよ!」 「俺がソファー使うからおまえらベッド行け」 「いやいいって…」 「藤井は明日も部活でしょ?だいたいサイズ合わないじゃんか」 「おまえも大差ねえだろ」 「うわ嫌味か。いいから藤井は俺の!で悪いけど如月は藤井のとこ使って!」 「だから俺はソファーでいいって、」 「いいからチビ二人は布団に…」 「「チビって言うな!!」」 「…おまえらはあっちで…」 などと同じことの繰り返し。 くそうこれじゃラチがあかない…
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