とある三人の内心事情

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まったく進まないそいつを担いで部屋に運んだ。 ベッドの上で唸りながら何度も寝返りをうっている。 「やっぱ医者診せた方が…」 「やだあ」 如月の提案をいち早く却下する馬鹿。そんなとこだけ早いってなんだ。 「冷えピタか氷嚢持ってくるか」 とにかく熱を下げねえと。 そう思ったのにあろうことかこいつはやだやだと騒ぎ出した。 この馬鹿は… 「医者行かねえなら他で熱下げるしかねえだろ!」 「やだやだあ!寒い!」 「寒くねえむしろ熱いだろうが!」 「寒い!凍えちゃう!」 「この馬鹿、いい加減にしろ!」 「ふ…っ、」 …あ? 「ふっ、ぅ…うー…」 ……… 泣いてる…? ……… マジかよ… 「おまえ高2にもなってそれはねえだろ」 「うー…ふじ、っ、ふじいがー…」 ……… んだよ、 俺が悪いのかよ! 「…わかったよ、持ってこねえから」 「…っ、」 「だから泣くな」 「…ほんと?」 「ああ」 まあ濡れタオルくらいならいいだろ。 「ぬれたタオルもやだ」 …こいつ、 俺が不機嫌になってたのはわからなかったくせに! 「朝比奈、せめて何か当てないと。こんな熱いんだし」 そう宥めながら如月が額に手を置いた、瞬間、さっきまで瞑ってんだかないんだかわからない目をしてた奴がカッと大きく見開いた。 驚く俺達をよそに馬鹿は如月の腕を掴みその位置に固定する。そして満足げに息をつき馬鹿面がさらに馬鹿になった。 「気持ち~…」 「「………」」 「如月の手え、すっげ気持ち~…」 ……… こいつ… マジぶん殴ってやろうか?
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