とある三人の内心事情

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「っ!」 「さって俺は行くかなー」 一言吐き捨てて河島はすぐ離れた。朝比奈に手を振ってドアに向かう。 こいつ…! ていうか、 「どこ行くんだよ」 朝比奈のこと看てるんじゃないのか? そう口に出す前に河島は笑った。 「俺はどっかの暇人とちごて忙しいんや。森と一緒におりたいけど、まずは問題解決せな」 「問題?」 おうむ返しに聞けば、ふっと口元が弧を描く。 「おまえには関係ないやろ?」 あいつ… 藤井があいつを気に入らない理由がわかった気がする。 嫌味しか返せねえのかよ。 河島って奴はとにかく朝比奈に甘い。 よくも悪くも。 朝比奈の為なら、おそらく人を傷つけることすら厭わないだろう。 朝比奈に近づく奴、いや、親しくなるだけでそいつを敵と認識する。 危害を及ぼす存在なら即座に手を下すだろう、それだけの狂気が見え隠れしていた。 …朝比奈は色んな奴に好かれるんだな。 聡真みたいに。 ほんと嫌になるくらいそっくりなこいつを見れば、いつから見ていたのか、うっすら開いた目がこちらに向いていた。 「どうした?」 「………」 問いかけても無言で返すばかり。 なんなんだ? 「…帰りたい?」 ……… …なんだそれ。 帰りたいって、どこに? …あの時に? 「泣かないで」 大丈夫だよ、と押さえていた手を俺の方に伸ばす。 頭に置いて、そのまま力無く撫でつけてきた。 『良かったなあ、守ってくれる奴がおって』 「っ、」 思わず手を払っていた。 朝比奈に置いていた手を使い振り払う。 …触るなよ、 …そんな、あいつとそっくりな眼して、触るな… 手を引く俺。 の手を再び掴む朝比奈。 またもとの位置に戻しふんと鼻を鳴らすとこちらに手を伸ばしてきた。 さっきと同じように、頭に手を置いて。
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