とある三人の内心事情

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          PiPiPi… 会議室を出て携帯を開けばタイミングよくメールが入ってきた。 ───  送信:***  題名:ST    :映像受信完了     藤井徹也は部屋に戻った     朝比奈森に昼食を食わせ     ている     如月琉は速水怜二を呼び     出し部屋に戻った ─── やっぱ戻ってきたんかあいつ。多分気づいてたんやろな…あー腹立つ。 まあ転校生が出てっただけマシやな。また森が椅子で寝るなん洒落ならんわ。他は床でも外でもどこでもええけど。 はー、会いに行きたいけど、いま行ったら何かあった?て聞かれるんやろなあ… ハニーは鋭いさかい。 「安心しいや」 おまえが俺のもんになるならもう心配さすようなんせえへんから。 それまでは、秘密にしとこか。 …秘密がある言うて拗ねたりしてくれんかな… ───    送信:河島捺    題名:毎度、      :おおきに。       このまま頼むわ ─── …送信… PiPiPi… ───    送信:***    題名:ST      :了解 ─── …受信… 「相変わらず端的やなあ」 "ST"と名乗る情報屋。こいつを知るのは学校でも一握り。 俺が知ったキッカケは向こうからの接触だった。 情報をくれてやる。 代わりに人と関わった時の心情を教えろ。 とまあなんとも風変わりな要求をしてくる奴だった。 しかもメールのみのやり取り。顔は俺も知らない。こいつを知ってる奴は誰も見たことがないと言う。 森の話もしたしあのアホとか、まあおもに親衛隊の話をしたがあいつから返ってくる返事は受信完了の一言。礼のひとつもありゃしない。 まあ報酬なんやから当然やけど。 今回はさっきの会議室でしてた会話を映像付きで送った。そこに俺の感想も交え。 あんなもんにも文面ひとつ変えない情報屋がどんな奴か、気になるところだ。 …ま、森以上に面白い奴なんおらんけどな。 「さって帰るかー」 冷凍庫に保存してある森のケーキを楽しみに、俺は部屋へ戻った。
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