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『馬鹿!!』 「は?」 『あんたがそうだから藤くん昨日大変だったのよ?!』 「え、そうなの?」 つか俺が怒ってたはずなのに姉ちゃんに怒り返されてるよ?あれ? 『だから藤くんに何かお礼しときなさいよ?』 「わかった」 まあ俺が迷惑かけたってのは藤井から聞いた話だけでわかるし… 『じゃ、藤くんに代わって』 「…変なこと…」 『あんたの悪口しか話してないわよ』 「なにそれひどい」 いいから代われと再度要求され藤井に手渡す。 しばらく黙って聞いていた藤井、まだ不機嫌オーラ出てるけど、宙を睨み言い放った。 「余計なお世話だよ」 そう言ってボタンを押した。 …っておい!! 「どしたのさ!つかなに切ってんの?!」 「…わり、つい」 「ついって!!」 なんだよボケっ子属性追加か? てか珍しい藤井がそんなことするとか。ナツ相手ならまだしも。 藤井も自分の行動にいまさら驚いた顔をしてる。やっちまった、って顔に出てるし。 「まあ姉ちゃんも悪いだろうし、気にしてないと思うよ?」 「………」 そんなに負い目感じなくても… 微妙な雰囲気になったこの状況を変えるには…と考え姉ちゃんに言われたことを思い出した。 「藤井、」 「…なに」 「昨日はごめん、迷惑かけたっぽくて。なんかお礼とかしたいんだけど何がいい?」 「………」 そう言うと藤井は渋い顔を見せた。へ?なんで? 「姉貴に言われたんだろ」 「うっ、」 その通りだよ。つかなんでわかるの。 別にいいとまた不機嫌な顔になりながら藤井はキッチンへ戻った。 「待てって!たしかに姉ちゃんに言われて気づいたけど、言われてなくてもお礼はするよ。世話になったんだから」 明さんと、あと如月か、二人にも何かしないと。 …つか、みんな風邪移ってないのか? 藤井とか大丈夫かな? おもむろに手を伸ばし藤井の額に当てた。 うーん熱はないみたいだけど… 「…なにやってんだおまえ」 「いや、移ってないか心配で」 そう言えば藤井は俺のことを睨み、はあとわざとらしーいため息をついた。 なんだよー普通気になるだろ? 置いていた手を退かされ背中を向けられた。そ、そこまで怒らなくても… 「…プリン…」 「へ?」 「…礼代わり」 ……… どうやら怒ってはいないようだ。 俺は笑って頷いた。 「了解。カラメルソース無しね」 苦いの嫌いな藤井にはいつもソースはない。 今日帰ったら作ろ。
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