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ニッコリ笑うナツはそのまま手紙を俺から遠ざけた。 「アカンで森、これ開けたら」 「…なんで?」 なんとなくわかるけど。 知りたい?とナツがとっても楽しそ~に笑う。黒い、黒いよナツその顔。 「きめえ」 藤井の一言に空気が凍りました。 あれ、今日マフラーひとつじゃ足りなかったかな?コート着てくれば良かった、なんて思わず現実逃避するくらい空気悪いです。 「なんやいたんか唐変木。てっきり傘立てかなんかか思たわ」 「朝から頭わいてんじゃねえよ、自分の下駄箱も間違えるとか馬鹿通り越してアホだな」 「アホにアホ言われたないわ。ああそれとも自分が馬鹿やから他の言葉使おう思たんか語彙力ないなあ馬鹿は」 「誰もんなこと言ってねえよ耳までわいてんのかよウジでも這ってんじゃねえの」 ……… えーと、 誰か助けてええええええええええええええええっっ!! どうしようこれいつまで続くかな?俺逃げたいけど二人に挟まれてるし靴は外履きだから教室に先行くことも出来ないし…どうしよう。 「たくウジだのハエだの、そんなに虫に詳しいなら…これの名前も当ててみいや」 そう言ってナツが手紙を投げる。 藤井が思わずキャッチした…そこから黒い何かが顔を出す。 「っ、どわあああああああああああああっっ!!」 あ、これ藤井の悲鳴ね。 …ってこれ! 「この触角!黒光りするボディ!間違いない、ゴ…」 「それ以上言ったら殺す!!」 藤井が手に持っていた手紙を床に投げ踏み潰している。 あ、感触に悶えてる。ちょっと一人で何やってんのさ… 「笑ってんじゃねえよ!」 「ごめんなさい」 藤井に胸ぐら掴まれました。ちょっ、息が出来ねえって! けどすぐ離されました。 正確には他の手紙をナツが藤井の制服の中入れたから離れた、が正しい。 叫び声上げてのたうってるよ藤井。てか軽くキャラ壊れてるって。 「森にばっちい手でさわんなや馬鹿が」 そう言って抱きつくナツの手を軽くつねってやった。 痛い痛いと言って離れると非難めいた目で見つめてくる。 「ひどいわー森、昨日も部屋行ったのに俺には冷たいし」 「え?ナツ来たの?」 「なんや覚えてへんの?」 「まったく」 ガクリとうなだれるナツ。 いいんやいいんやといじけてしまった。悪いことしたかな。
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