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って言ってもほんとに覚えてないからなあ… 「ごめんナツ」 「ええねん俺なんて…」 「や、あれだよ?ナツだけ忘れてるんじゃなくて昨日のこと全部覚えてないんだからね?」 「そうなん?」 驚いたように目を丸くするナツ。 「そうだよ。だから藤井に昨日のこと聞いたんだ」 そういや思い出さなくていいって濁したとこあったっけ。もしかしなくてもナツのことかあれ。 「なーんや、ならええわ」 俺が全部忘れてると知ってナツはまた笑顔に戻った。 どこか嬉しそうに見えるけど気のせいか? またナツに、今度は腕ごと抱きつかれ離すのに苦労していると、別な力が俺とナツを引き剥がした。 「おいてめえ…」 ナツの胸ぐらを掴み藤井が迫る。 こ、これは… 「駄目だ藤井!!人殺しは犯罪だぞ?!」 「「………」」 二人に見つめられました。いやん恥ずかし! …だって殺しそうな目だったよねいま?!あれ絶対首絞めてたよ! 「ほ、ほら!はやく行かないとチャイム鳴るし!はやく行こうぜ?!」 恥ずかしさに耐えながら俺は藤井の背中を押した。 あ、靴。 「森、」 振り返るとナツが俺の内履きを持って笑っていた。手紙がさっきの倍落ちてナツの足元を隠してる。 「ごめん、つか手紙…」 「こん中入れよやー」 どっからダストボックスが。 ナツが出したゴミ箱に全て入れ終わり俺はナツに礼を言って藤井の後を追った。 てかナツ下駄箱違うのに…心配してくれたのかな? あ!てか昨日…じゃなかった、一昨日親衛隊の隊長達に話つけてくれたんだよな。すっかり忘れてた。 それと昨日と、まあお礼… なんか俺いろんな人に世話なりすぎじゃねえ?やばいよこれ。 凹みながら教室のドアを開けた俺を教室の中にいたほぼ全員が振り返った。 こ、こわあ!! 「朝比奈!」 呼ばれた方を見ると少し薄くなった黒髪の如月と不機嫌そうに口を曲げる速水怜二が自分の席に座っていた。
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