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結局俺はどうしたかというと、 「久しぶりだなーここ通るの」 生徒会室がある校舎、その脇道である生垣の間を歩いていた。 生徒会室って一階にあるから、まあ窓からになるけど…いいよね?! …ダメかな? あのメールを読んで怪しいと思った。 得体の知れない人物からのメール。 けどなんだろ?不安は感じたけど、 それより、こいつはどんな奴なのかなって気になって… なんか、素っ気ない文もただ口下手なのかなとか、名前書いてないのもうっかり忘れたのかな、とか、考えてたら不思議と恐怖はなくなってった。 こうなったら何かの縁だ。こいつを信じよう! ちょっと使い方違うけどそう意気込んで俺は手入れされた道を歩いた。 すると、眼の淵に入ったふたつの影を見つけ思わず顔が緩んだ。 「ケント!ルシア!」 俺が呼ぶと黒い大型シェパードが大きく口を開けた。 挨拶でもするように吠えこちらに駆け寄ってくる。 二匹揃って近づきそのまま俺に身体を預けてきた。 「お、も、いいいいー…!」 両肩に体重をかけられた俺は呆気なくその場に倒れた。 二匹が鼻息を荒くして俺の頬を舐める。 「おいっ、こら!ちょ、マジやめ…!」 くすぐったいっつの! 俺の気持ちが通じたのか名残惜しそうに一舐めして後ろに下がる。 俺はベタベタになった顔を拭きながらうなだれる二匹を見て思わず笑ってしまった。 「怒ってないから。相変わらず可愛いなあおまえら」 そう言う俺を見て気を取り直した二匹はピンと耳を立てしっぽを振った。 ほんと可愛い。 この二匹は生徒会室の番犬であるケントとルシア。 ケントの方が腹と脚が白くてルシアは鼻に斑模様がついてる方だ。 二匹は生徒会室に近づく奴を追い払う為ここにいる。 何年か前、窓はすりガラスでもなく普通に透明な為生徒会を見ようと親衛隊などが集まることがあった。 授業免除な生徒会メンバーは生徒会室に入り浸ることも多く、それに伴い一般生もサボりが続出。それを避ける為の防災措置がケントとルシアってこと。 まあそれは建前で生徒会連中が奴らの視線に耐えきれなくなりこうした措置になった、という話をナツから聞いた。 まあ、たしかに視線は怖いよな… 朝のことを思い出しぞわっと背筋に悪寒が走った。
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