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中へ促され俺は窓枠に足をかけた。
ケントとルシアに手を振り中に入…ろうとした所を副会長に止められた。
足元にタオルを敷かれようやく俺の靴も濡れていることに気づく。
つかわかったら冷たく…なんか感触気持ち悪いし…
しかし初めて入ったな…
生徒会室に入れるのは生徒会役員、教師、理事長を抜かせば居ないと言われている。
呼び出しも基本別室でされるのでここに入るってことは無い…はずなのに。
思わず首を動かし部屋の内装をチェックした。
会長用の席が一番窓際に位置しその左に副会長席、右に会計、書記の席が並んで置かれる。
入り口から入ってすぐの場所に長方形の机が置かれ左右に三人、詰めれば四人は座れそうな革張りのソファが一つずつ。そしてドアから一番遠い正面の席に一つ、一人用のソファが鎮座していた。
あとはファイルや本、卒業生のアルバムなどの並ぶ本棚が副会長席側の壁に三つ、会計・書記側に一つ置かれているだけだった。
ずいぶん質素だなあ…
もっと豪勢な作りかと思ってたが至ってシンプルな部屋は俺の緊張を和らげた。
「何ボケっとしてる鬱陶しい」
…ほんの少しだけだが。
会長と机を挟んで向かい合う。この机が唯一のボーダーラインであり俺のセーフラインなわけだ。
「ここまで遅れた理由を詰問したいところだが無駄話をする気は無い。本題へ入ろう」
いまだ眉間に皺を寄せている会長はその怒りを隠すことなくこちらを睨み付けてくる。
つうか本題ってなんだ?
「食堂でのことでしょー?」
「あれは僕らもイラっときたしー」
ねーと首をかしげあう双子。ちょっと何おまえら可愛い。
あれ今日可愛いか怖いしか言ってねえなやべえやべえ。
「彼、如月琉とはどういう関係です?」
笑顔なのにひどく冷めた目がこちらに向けられる。
うん、怖いしか出てこないよ。あ、恐ろしい!
…大して変わんねえな。
「黙れ」
会長の低く重い声が部屋に広がる。
副会長の質問に答えようとしたがその声に俺は固まってしまった。
背中を汗が伝う。
「俺が話してるんだ。おまえらは後にしろ」
いつもなら何かしら反論してそうな三人が大人しく口をつぐむ。
それだけいまの会長は威圧感があるんだろう、尻餅をついてしまいそうなのを俺はなんとかこらえた。
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