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「そうでした、長沢くん達は森くんと同じ学校でしたね」 「風紀委員と生徒会のみんながここの常連だよ」 「そうなんですか?!」 あ、そっか。写真でも雅文さんと生徒会メンバー写ってたじゃん。 風紀とも知り合いなんだ。 「長沢くん達は特に聡真を慕ってくれましたから。まあ店には速水くん達がよく来るのであまり顔を出しませんけど…」 「そう…ですか」 仲悪いよなほんと… ……… ていうか、 「聡真…さん、とも知り合いなんですか?」 「ああそうだよ」 「…サトシって人ともですか?」 生徒会、風紀委員ときて真っ先に浮かんだのはサトシという名前しか知らない人物だった。 二人がどちらとも知り合いで、しかも親しいというならサトシのことも知ってるんじゃないのか? 俺がサトシという名を告げると二人はまた目を見開いた。 「サトシを知ってるんですか?」 知ってるなら、場所を… どこに居るか。 だってずっと、風紀も生徒会も探してる。 二人がサトシを知ってるなら場所は? ……… 居場所を聞こうとして違和感に気づいた。 "聡真"を慕う風紀委員。 雅文さんや如月にとって大事な人である"聡真"。理事長の友人でもある。 この店の常連で、如月が好きな生徒会。 "サトシ"を好きな"マコト"の為に"サトシ"を探す会長達。 俺を"サトシ"と似てるという風紀委員の報告を受け、自分の友人とは似てないと言った理事長。 写真に写る生徒会、如月、雅文さんと、もう一人の男… あれ? サトシって、 まさか… 「そうか、風紀委員のみんなから言われたんだね」 理事長がため息をつき、改めてこっちに視線を戻した。 「"サトシ"は"聡真"のことだよ」  "サトシ" は "聡真" 「…じゃあ"マコト"は?」 「…速水くん達か?」 少し怒気を含んだ瞳でこちらを見る理事長に肯定も否定もせずにいるとまたため息をつかれた。 「"マコト"は"琉"だよ」 ……… 「彼らは聡真の名前を知らない。聡真がサトシとしか名乗らなかったからね。琉のこともマコトとしか紹介しなかった」 そんな… そんなのって、ない。 ずっと会長達はサトシを探してた。マコト、いや、如月の為に。 風紀のみんなもサトシを探してた。サトシである聡真を待ってた。 みんな… みんな、サトシという男を、 聡真を探して…
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