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「森くん、」
「………」
「落ち着いてください」
いつの間にか立ち上がっていた俺を雅文さんの笑顔が制する。
「…すみません」
…俺が言うことじゃない。
そんなのわかってる。
けど…けど…!
「今日はもう帰りたまえ」
そう言って理事長は立ち上がった。
黙って見上げる俺の腕を掴む。
「送ろう。カフェの話はまた今度だ」
………
ただ黙って頷いた。
それからどうやって学校までの道を帰ったか覚えてない。
気づいたら学校の前で、理事長が車の中からこちらを見ていた。
「今日のことは他言無用にしてくれ。もちろん、生徒会、風紀委員の彼らにも」
………
「如月は知ってるんですか?」
「…聡真が死んだことかい?」
「………」
「知ってるさ。というより、原因の一端を担ってる」
「は?」
「琉は自分のせいで聡真が死んだと思ってる」
………
「それじゃ、気をつけて戻りたまえ」
窓が閉まると車は再び門から外へ走って行った。
………
聡真…
サトシ…
マコト…
写真に切り取られた情景が頭に浮かぶ。
笑う如月と、聡真の姿。
………
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