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じっと俺の差し出した携帯を見て動かない。 そこにナツがいるのかと聞きたくなるような視線だがそんなこと聞けない。あ、また歯軋り。 たっぷり間をあけて受け取られる。 何の話だろ? 「な…」 んだよと続くはずだったのかな? 何か言われてるらしく藤井はただ黙って聞いてる。 口開きっぱなし。気づいてないのかー? …ってなんかミシとか嫌な音が聞こえた気が… あれ?藤井さんの顔怖いよ?血管浮き出てるよ? ついでに君が握り潰さんとしてるそれは俺の携帯だよ?頼むからやめろおおおっっ!!それデータが!メモリが!まだカードに保存してないやつが入ってんだああああああああああああっっ!! 俺の叫びが届いたのか藤井はようやく返してくれた。 おかえりマイ携帯無事で良かった。 「…ケーキ」 「へ?」 「俺のも作れ」 …は? 「なんで?」 「いいから作れ絞め上げんぞ」 「喜んで作らせていただきます」 そうやって暴力に訴えるの良くないと思うよ! 言わないけど。 だって藤井まったくこっち見ないしまだ青筋たってるし。たぶん言ったら俺確実死亡フラグだよ。 「なにケーキがいいの?」 「…ガキが食わないようなのはなんだ」 「ガキ?大人向けってこと?やっぱビターケーキとか?あ、アルコール入りのとか」 「じゃそれ」 「いいけど藤井洋酒苦手じゃなかった?」 「苦手じゃない」 「いやいつだったかウイスキーボンボン食って不味いって…」 「黙れ」 「はい」 その後チャイムが鳴ったので俺たちは走って教室に戻った。 あ、プリン好評だったよー。 ケーキはアルコールとばして風味だけにしたから食いやすかったみたい。完食されました良かった良かった。 ただチーズケーキまで食おうとしたのでそれ止めるのが大変だった。 ケーキ俺食うから残り持ってけ、…って箱しか残らないじゃん!と突っ込んだら箱でいいだろと真顔で返されました。藤井ひどい。
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