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「だって金無いし、ここ高いし」 「貧乏人がよくここに来れたねーどんな手使ったわけ?」 ほんとトゲがめった刺しだよ俺。 いっそここまで嫌われると清々しい。…いやまあ凹むけどね? 貧乏っつうのは本当だしなあ… 「俺は藤井みたいにスポーツ推薦とか無理だし、奨学制使って後払いにしてもらってる」 つまりローンみたいなもんだ。一応期限もあるから高校卒業したらちょっとずつ返していくつもり。 ってこんなつまんない話どうでもいいな。 速水も呆れたようにため息吐いてるし。天然とかなんとか聞こえたがどういうわけだ? 「奨学生ってことは頭良いの?」 あら如月食い付いた。 まあ珍しいよなこの学校じゃ。 「や、恥ずかしいことにギリギリ。あと一点でも落としたら学校やめないと」 「は?」 今度は藤井くんですかなんですか。 「なんでおまえが驚くの?」 「………」 いやここはスルーのところじゃないよ? てかなんで歯ぎしりするの? 「お待たせしました」 この高い声、低い身長、くりくりお目めな少年は… 「恵くん!お疲れさま!頑張ってるね」 「ありがとうございます」 にっこり笑う姿が可愛さに拍車かけてます。癒されますなあ…! けど如月、速水の頼んだものを慣れた動作で置いていく姿は歳よりも大人っぽく感じる。 本当立派だな。俺も頑張らないと!! 「恵くんありがとう!俺頑張るよ!」 「はい?」 あ、首かしげちゃった。 「恵くん見てたら、俺も頑張らないとって気になったから。本当ありがとうね」 そう言うと恵くんは顔赤くしながらそんなことないですと呟いた。 ちょっとそれ萌える。顔恥じらって下げるとか萌える。写真撮りたい。 …あ、忘れてた。 「恵くん」 「はいなんでしょう?」 「写真撮っていい?」 「…え?」 あ、引かれちゃった。 「違うよ!姉ちゃんに恵くんのこと話したら写真送れって!」 「ああ、そうなんですか。お姉さんに…」 駄目だまだ引かれてる。 まあいきなり写真撮らせてとかないよなー…やっぱ駄目か。 「ごめん突然。嫌だよね」 「あ、いえそういうわけじゃ…」 「いやほんといいよ。嫌がってるのに無理やりさせたくないし」 「いえ、本当に大丈夫ですよ?」 「…本当に?」 「はい」 「マジで?!ありがとう!!」 やったよ姉ちゃん!ありがとう恵くん!! 「…朝比奈って天然?」 「しかも自覚症状がない」 「タチ悪いなーそれ」 という三人の会話ははしゃいでた俺には届かなかった。
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