24/45
前へ
/1308ページ
次へ
……… 「どうしたの先輩、まだまだ喋れるじゃないですか」 「…っ、許し…」 「は?聞こえないっすよ。息出来るならもう少し頑張れるでしょ?」 「ひぃ…!」 「…はっ、よわ…」 「っ!」 バタリと倒れる音がして廊下は静かになった。 十数人いた男達は全員床に、壁に倒れていた。 赤く染まった廊下を見て手が震える。 「さあて、」 隅で身を縮めてた隊長がさらに小さくなる。 「お待たせ先輩」 ゆっくりゆっくり隊長達に近づく如月。 何人かはどこかへ逃げてしまった。 残ったのは会長と副会長、速水弟の隊長。一番前に出てた三人だ。 逃げ遅れたのもそうだけど腰が抜けたんだろう。 近づく如月から遠ざかろうと手で這って後退る。 「どうしたの?」 しかし如月は許さない。 「俺に用事があったんでしょ?」 その手が隊長達に伸びる。 三人は悲鳴を上げて目を瞑った。 「もういいよ」 如月の身体はあんなに動いてたのに冷たかった。 血のにおいが鼻をつく。 「もういいよ、如月」 「…何がいいんだよ」 「…やりすぎたってわかってるんだろ?」 「はあ?何が、やりすぎたって」 「とぼけるなよ」 泣いてるんだ。 「如月、」 「………」 自分で自分を傷つけてる。 本当は人を傷つけるのが好きじゃないのかもしれない。 痛めつければ痛めつける程、如月の表情は無くなっていった。 まるで人形。 人形が動くのを嫌う子供が背中を向けて泣いてる。 「如月が傷つくだけだよ」 やめてって泣いてる。 「っ、てえ…」 如月を掴んでた手に衝撃が走る。 叩いた相手はこちらを睨んでいた。 「…んだよ、おまえ…」 「え?」 「なんなんだよおまえは!!」 そう叫んで如月は俺に背を向けた。 「如月!」 彼はこちらの呼び掛けに応えることなく廊下を走って行った。
/1308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8130人が本棚に入れています
本棚に追加