8130人が本棚に入れています
本棚に追加
/1308ページ
「されても良かったんか」
ナツの顔が近づく。
「好きでもない奴と、無理やりされようとしとったのに、嫌がりもせんで…」
息がかかる。
熱いそれに、いまナツはどれだけ怒ってるのか考えた。
「未遂やったけど、ほんまにされてたらどうするつもりやったん?」
「…けど、されなかったし」
思わず口を開いた。
でもすぐそれを後悔した。
慣れてきた目に映ったのは、悲しそうに顔を歪めるナツだった。
「…してへんでも、」
ナツの目が揺れる。
「好きな奴が他の奴としそうなん見て、平気やと思う?」
涙を浮かべてるのか、僅かな光を宿して、揺れる。
左の手が顎を掴み、さらに距離が縮まる。
「俺は未遂にはせえへんよ」
その言葉が届いた次には熱い唇が俺の口を塞いだ。
最初のコメントを投稿しよう!