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『まったく、あんまり出るの遅いから最中かと思ったじゃない。それなら始めから通話にしてあたしに聞かせろって言ったでしょ?!』
のっけから好き放題叫ぶ女に苛立ちが募る。
「…メール見なかった?」
『見たわよ?だから電話したんじゃない!』
いや、見たならするなよ。
『「今日は報告もチャットも無理」、それだけであたしが転校生くんの話を諦めると思った?せっかくの王道なんだから!』
「………」
いつもなら平気なこの人のテンションも、今日は無理。
「悪いけど、マジで今日は遠慮して…」
『また馬鹿やったんでしょ?』
「…は?」
『また勝手に馬鹿やって、自分が悪いってうじうじしてんでしょ』
………
「…なんで、」
『わかるわよ』
『あんたの姉ちゃんだからね』
…なんでだろ、
理由にもなってないのに、
すげえ納得してしまった。
『何があったの?全部話しちゃいな』
「…っ、」
姉ちゃんは俺がする話を黙って、時々相づちを打ちつつ最後まで聞いてくれた。
話してる最中、誰の前でもこぼれなかった涙が止まらなくて、絶対聞き取りづらかったはずなのに、姉ちゃんはそれについては文句も言わず、本当に、ただ聞いてくれたんだ。
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