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ナツの顔は無表情なままだった。 けど、気のせいか、その目は少し暖かかった。 「…好きな奴にしかってことは、俺のこと好きいうことでええのん?」 「あっ、ちが…えっと、いまから!いまからだから!」 「えーなんでやあ、約束やろ?」 「いまだから!約束したの!」 「はははっ!!」 冗談や、そう言ってナツは笑った。 いつもの楽しそうな笑顔で。 良かった… ナツ、笑ってる。 あ、そうだ。 「ナツ、これ」 「ん?…ケーキ?」 「うん。保冷剤入れてるけどなるべく早く食べて」 「………」 「…ナツ?」 「もうあかん」 「は?っ、ちょっ、ナツ!!」 「さすがハニー!愛してんで?!」 「離せって!」 「んな照れんでえーやん」 抱きついてきたナツは叩いても離れなくて、首に唇当てて吸い上げられた時にはナツの息子へ膝蹴りをおみまいした。 …やりすぎたかな? ようやく離れたナツは涙を浮かべてたけど笑ってる。 「ナツ、大丈夫?」 「ちいっと…ヤバイかも…森が部屋で看病してくれれば…」 「大丈夫だね」 「最後まで聞いてやー…」 本当に痛そうにしてるけど俺が誘いを断る度に笑うから、だから、気にしないことにした。 それに、約束だしな。 自分からそうなりそうな状況にはしない。絶対。 「じゃ、またな。箱は捨てるか、返してくれてもいいから」 「森、」 ナツが封筒をこちらに向ける。 その中身がわかり俺はナツを見て、また封筒に視線を落とした。 箱を渡して空いていた両手で封筒を受け取る。 「副会長だけやなくて悪いけど、チームの集合写真やて。会長やら双子も入ってんで」 「マジで?!え、そんなのどこから…!」 「速水怜二」 「ああ」 バレたら四人にリンチなんじゃ…なんて考えてるとナツの顔が近づき思わず仰け反る。 「いま弟のこと心配しとったやろ」 「いや心配ってわけじゃ…」 「あかんであんなヤリチンの性悪、あんなんのこと考えるだけ時間の無駄や」 「そこまで…」 「ええから、今日は俺のことだけ考えとってや」 「わかったわかったから早く部屋入れって!」 「はいはーい」 ほな、と手を振るナツに笑い返し俺は部屋に戻った。 「…ただいま」 「遅い」 帰ると藤井が椅子に座ってました。 出る時には無かった料理を机に並べて。
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