8/66

8129人が本棚に入れています
本棚に追加
/1308ページ
藤井がなんでとかなんとか呟いてるのを押し退け俺はドアを開けた。 そこには確かに、雨でずぶ濡れになった如月の姿があった。 雨でなお厚みを失わない人工の髪が重たそうに如月の頭を下げている。 服からは水が滴り、よく見ると手の先まで雨の粒を流していた。 「どうしたの如月?!」 部屋戻ったんじゃないの?! てか会長は?!会長の部屋でもいいからとにかくその格好なんとかしないと! 「…あ、さっき…」 「さっき?」 「…シート、被せたって聞いて」 わお。 そのことですたか。 「ごめん」 あんなことしか思い浮かばない残念脳ですみません。 「や、別に謝ることねえし…」 「いや、あれは俺が悪かった。他にもっといい方法あったろうし」 ほんと申し訳ありません。 「…でもああするしか無いと思ったんだろ?」 「…はい」 「………」 ああああ如月黙っちゃったよおおおマジすんません生まれてきてごめんなさい。 「ふっ、」 「へ?」 「あははははははっ!!」 「………」 「ははっ、駄目だ、く…あははは」 ……… えーと、 何故か如月が爆笑してます。 いやそんな声でかくないけど。 こんな腹抱えて笑ってるの初めて見た。 「おまえってほんと…」 「え?なに?」 「や、なんでもない」 そう言って口に手を当てる如月。 どうやら笑いはおさまったらしい。 …てか、笑ったってことは怒ってないのかな? 良かったと安心していたら脇から恐ろしい気配を感じた。 如月も気づいたのかそちらを見ている。 俺も同じように視線を移す。 わーお、藤井さんが腕組みしてこっち睨んでるよおっかない! 「はやく入れ馬鹿」 オカンがご立腹でございます。
/1308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8129人が本棚に入れています
本棚に追加