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オカンはもうひとつタオル持ってきて如月に渡しました。
あれ?俺の時は顔面に投げたよね?
如月には普通に手渡すの?なにその違い。
「如月は部屋戻れよ。で風呂入れ」
たしかに。
うんうん頷いていると如月は顔を伏せた。
「…戻りたくない」
そう言う如月はいまにも泣きそうな気がした。
「じゃこっちの使う?」
「え?」
「はあ?」
「だってそのままじゃ風邪引くし。着替え俺の使っていいから」
「や、さすがにそれは…」
「駄目。入って」
「おいおまえ先入れって…」
「俺より如月のが濡れてるじゃん」
「いやマジで悪いって…」
「はいはいこっち。シャワーとか全部屋同じ仕様だから使い方わかるよね?じゃ、着替え置いとくから。ちゃんと暖まるんだよ?」
「朝比奈…」
「いいから入る」
「…はい」
嫌がる如月を無理やり浴室に押し込みドアを閉める。
おっともうひとつ。
ドアを開け忘れてた一言を付け足した。
「出てきた時暖まってなかったらもう一度入れるから」
バタンと閉めやれやれと息を吐き出す俺。
の前に立つ藤井という名の鬼。
「…おまえな…」
「や、だってさ、如月冷たかったし、俺より危なかったし」
如月の腕を掴んだ時、氷に触れたみたいにひやりとしたんだ。
あんなに冷えてちゃ危ないよ。
藤井は無言で俺を睨んでいたがしばらくして大きくため息をついた。
呆れた顔でこちらを見る。
「とにかくおまえ着替えてこい。身体ちゃんと拭けよ」
「うい、了解っす」
「厚着しろよ寒がりなんだから」
「大丈夫、って言いたいけどそうしとく。…ってあーどうしよ」
「何が」
「制服、乾くかな?」
「別にいいだろ乾かなくても」
「いやいや学校行けないじゃん」
「なんか用事か?」
「は?いや学校行くでしょ」
「…今日何曜日かわかってるか?」
「…何曜日だっけ?」
「土曜。学校休みだぞ」
………
あーそっかだから飛田さん居なかったのかそら休みなら居ねえよなっていう…
「俺の馬鹿」
「馬鹿だからな」
「そこは慰めてよ」
「馬鹿に馬鹿っつう以外何しろって?」
「もういい着替える」
そして濡れた制服はハンガーにかけ私服に着替えました。
くそう朝からマジ馬鹿だ俺。
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