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「おいどうした?」 藤井がドアを開ける音で我にかえった。 「着替えたならはやくしろ。冷める」 「ああごめんごめん。いま行く」 「メールか?」 「違う。昨日ナツか…えーと写真見てた」 「………へえ」 あぶねえあぶねえナツの名前出しちゃった藤井が黒いオーラ出し始めたし。 あ、俺がナツから親衛隊が撮ったりした写真貰ってるのは藤井も知ってるんだ。 だから写真のことは聞いてこない。多分いつものこと、くらいにしか思ってない。 だからこのオーラはナツだけが原因ってこと。 ほんとなんでそんな嫌うかな。 「ほら、はやく食おうはやく」 「…てめえが言うな」 「ごもっとも」 あら、意外とあっさり折れたな。いつもなら文句ごうごうなのに。 そういえば昨日遅くまで電話してたんだっけ?あれで言い尽くしたのかな? 席に着くと湯気をあげる朝食が机に並んでいた。 「…ほんと馬鹿だなおまえ」 「あーもうわかってるよ!それしか思いつかなかったんだって!」 「ブルーシートはねえな」 「じゃあ藤井ならどうするのさ」 「普通に廊下連れてけばいいだろ」 「だからそれは無理だって…」 「なんでだよ」 「だから泣い…いやいや、雨に打たれていたい心境だったんだよきっと!」 「おまえじゃあるまいし」 「え、なにその偏見。藤井俺をどう思ってるわけ」 「馬鹿犬」 「…聞いた俺が馬鹿でした」 「だからそうだっつってんだろ」 「………もういい」 何故濡れたかを説明しながら例の質問をした経緯を話してる。 もう飯は食い終わった。ので、食後のコーヒーを啜ってたらガチャリとドアの開く音がした。 如月が顔を火照らせてバスルームから出てくる。 あ、服は俺のスウェット貸しました。だって藤井のデカイだろうし。俺のもまあ如月にしたらデカイけどまだマシでしょ。 「サンキュ…助かった」 「いえいえ、今度はちゃんと暖まったね」 如月が拗ねたように口を曲げる。やーん可愛いよこの子! 実は俺たちが飯食ってる最中に出て来たんだよね。けど全然暖まってなかったし。シャワーしか浴びなかったんじゃない?なので再度強制入浴させました、まる。
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