サワンギリティーと歪んだ愛情

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カラン…… 乾いたベルの音が店内に響いた。 「あら嫌だ、お待ちになった?」 「いえ、俺も今来た所ですから」 頬に薄ら笑いを浮かべた彼女は「そう……」と告げてイスに座った。 俺が予め頼んでおいたサリワンギティーは、したしたと汗をかいている。 「覚えていて下さったのね……」 「あっ、その、俺も好きな紅茶なので……」 それは全てが本当ではない言葉だった。 上品に笑う彼女は、俺なんかの人間に似合うのだろうか?
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