4人が本棚に入れています
本棚に追加
どこか窓が開いているのだろうか。
激しく降る雨に強く打たれた土の匂いが店内に充満してきた。
神無月らしい自然の香りとでも言おう。
次の瞬間、俺は彼女の言葉に目を見開いた。
「それは、――」
「それはね? 杉本さん、貴方が私を踏みにじったからよ」
うっすらと笑う目の前の女は誰だ?
そこに、俺が知っている 藤原 愛子 という女はいない。
「ふみにじる……?」
無意識に声が震える。
カタカタと悲鳴を上げる指は、ガシッとアイスコーヒーを掴んだ。
「そう。踏みにじったのよ? 私の全てを貴方は……」
最初のコメントを投稿しよう!