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そう言うと彼女は俺に近づき
「消えてちょうだい」
甘ったるい声音で、囁いた。
遠くで雷が轟く音がした。
俺たち以外の客は、悲鳴を上げている。
「私の為に……死んで頂戴」
「あ、あぁ……」
何故だろう。
声が思ったように出ない。
「苦しんで、苦しんで……!!いたぶって上げるわ? 憎き貴方の為に」
その時、腹部に激痛が走った。
「う゛、う゛ぁあ!!」
「うふふ、ふふ、ふはははは!!」
狂ったように笑う三日月のような彼女の口元に、赤い何かが付いている。
それを俺は拭ってやる。
「な!? や、やめて!! 触らないで……!!」
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