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待ち合わせたレストランは、12歳の未彩でも知っているような、高級レストランだった。
だから、こんなにめかし込んでいるのかな──?
「あ、達也さん!」
お母さんが、一瞬で女の顔になったのを見逃さなかった。
「やあ、万里子さん」
「ごめんなさい、待たせた?」
「そんなことないよ」
万里子とは、お母さんの名前。
私をそっちのけで、2人は仲よさげに笑っていた。
「あ、この子が未彩。私の娘」
「こんにちは、未彩ちゃん。佐々木達也です」
私のこの時の名前は、河広未彩。
お母さんの再婚によって、佐々木未彩になった。
「河広未彩です」
そう言って頭を下げた。
「さあ、未彩、座りなさい」
未彩は、丸テーブルの達也とお母さんの間に座らされた。
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