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チン、という古典的な効果音と共に、旧文明の遺産(正直、トースターを考えた人は天才だと思う。これを作る為だけにわざわざこんな機械を作ったんだぞ?)からトーストが飛び出す。
確か今日はフランは、ベリー系のジャムが良いと付け足したはずだ。真っ赤なストロベリージャムを果肉たっぷりに塗り付ける。
そして俺は『手首を包丁で軽く斬り』『トーストに血をまぶした。』
これがフランの「人外」たる最大の理由、血を食すことだ。
まあ日光を浴びられないという制約からすれば些細だが、しかしなかなかに供給源に困る、吸血鬼の弱点であり、特徴。
その弱点を補うため、フランの欠点を埋めるのも、俺の大切な存在意義だ。
出来たてのトーストに、ベーコンエッグとフレンチサラダをプレートに乗せ、フランの座る席に運ぶ。
「えへへ、やっぱりいつも美味しそうだね、獅樹の料理。」
「美味しそうじゃなくて、美味しいよ。」
「それは食べないとわからないよ。」
正直、ゲテモノ料理のように味以下の見た目、というのはあるが、見た目以下ね味なんてあるんだろうか。
テレビの料理は演出効果だから例外として。
フランは美味しそうに微笑みながら、トーストを頬張っていた。
「うん、やっぱり獅樹の血は美味しいよ。」
「血だけかよ。」
「料理が美味しいと血の美味しさは一層際立つんだよ?」
「この褒め上手め。」
「悪口になってないね。」
「褒めてるからな。」
「ありがと♪」
と、くだらない会話をしている間に自分の分の朝食も出来上がる。
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