束の間の

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ゆったりとした波音が私の耳をくすぐる。 空に浮かんだ月が白い微光を放ち、波に柔らかく反射している。 白い砂浜はさらに透明な色に変化し、空気が滑らかさを増していた。 そろそろだな。 自分に言い聞かせるように呟き、空を見上げると傾きかけた太陽の輝きが真上で光る月の輝きと重なり合い、海が一瞬不可思議な色に染められた。 小さな銀色の輝きを持った星達がいつの間にか月の周りを取り囲んでいる。 波間にきらっきらっと反射する星の光りに目をとられ、慌てて視線を戻すと砂浜に、人影が浮かんでいた。 少女だった。
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