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「起きて、今日は休みでしょ」
さっき触れたまるい輪郭、の―――きみの額に指を這わす。
そろそろ、と。
くすぐったそうに、心地よさそうにひとみを細めて、イニスは笑う。
「休みだよ、だからゆっくりするんでしょ」
這わした指に指を重ねるきみ。
このところはあまえかたもふかい。
当然だ、だってきみは俺を信じこんでいる。
「よく言う、起きたくないんだろ」
ふふふ、って笑いながら重なった指をゆったりと解いたら、―――指先までもがさみしがって、イニスの手のひらは俺のそれを追いかけた。
だけどそれも無意識の行動、ほら、俺はずいぶんときみの奥深いところまで居着くことができたみたい。
「イニス、せっかくの休みだよ」
次の言葉に行き着くまでに、きみがいろんな想像で期待を膨らませるように―――俺は大きく大きく間を置いた。
いつまで経ってもはじまらない会話に、焦れてイニスはだから、なぁに、って訊ねる。
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