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黒い世界。 空も地面もなく、ただただ無限に黒い世界。 そこに、白い死神が立っている。 髪も、服も、手袋も、その左目をおおう眼帯も、肌ですらも、すべて純白。 唯、瞳だけが少しの光も映さずに黒く輝いている。 死神が懐から、黒い紙の束を取り出した。 綴られた白い文字を一読し、呟く。 「次の標的は、こいつか」 小さくため息をついた死神が紙束を放り投げると、それは空中で霧散し、白い文字だけを残して世界に溶けた。 溶け残った白い文字はしゅるしゅると中央に集まり、白いなにかを形成していく。 それは扉だった。 白い死神はためらうことなくその扉を開き、黒い世界を後にした。
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