正義のヒロインと王子様

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*** 「真、元気……だせよ…?」 何を言えばいいか分からず、幼い私はとりあえず励ましの言葉をかけた。 「……姉さん、ありがとう。」 真は少し微笑んで答えてくれた。 「真ーっ、行くぞーっ」 真のおじいちゃんが車を出して待ってくれている。 真は寂しそうだったが、 「それじゃあ……行くね」 「おう…元気でな」 そう言葉を交わしあって、真は私から背を向ける。 そうして、私は真の後ろ姿を見送っていた。 すると、 「……姉さんっ!!」 数歩進んだところで、後ろ姿を見せていた真がもう一度振り向いた。 「何だ、真?」 「僕、高校生になったら姉さんの所に必ず帰ってくるから、待っててくれる?」 突然、真は真剣な表情で言葉を放った。 「おう、もちろんだ!必ず帰って来いよ!ここで待っててやるからっ!!」 私は真の"必ず帰ってくる"の言葉が嬉しくて、微笑みながら答えた。 真もまた嬉しそうに微笑み、 「じゃあね、姉さん!!必ず帰って来るからっ……!」 と、車窓から手を振って行ったのだった。
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