投獄

2/32
前へ
/1230ページ
次へ
どうして俺はこんな場所にいるのだろうか... 耳の上辺りをチクチクと針で刺したような嫌悪感に頭を押さえながら、神木 竜二は、この長い人の列に並ばされていた。 目の前には、しばらく風呂に入っていないのか、肩の辺りに大量のフケをばらまいたボサボサ頭の男が、その猫背を更に丸くしている。 その後ろ姿には、まるで覇気が感じられない。 自分の後ろには、振り向くことすら許されない為、姿こそは見えないものの、恐らくは10人以上が自分と同じように、並んでいる事がその熱気で解る。 全員が一言も話す事なく、コンクリートで覆われた、この無機質な冷たい廊下をゆっくりと歩いては、立ち止まり、また歩いては立ち止まる。 「おいそこ!モタモタするな、さっさと歩け!」 .
/1230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12983人が本棚に入れています
本棚に追加